ダイヤをどのようにして輝かせるのか
ダイヤモンドはお客様が目にするまでに、様々な工程を経て輝きを放ちます。ここでは、スタンダードなカットである「ラウンドブリリアントカット」の完成までの工程を紹介いたします。
鉱山から発掘されたその辺にある石のようなダイヤの原石が、どのようにして光り輝くダイヤモンドに生まれ変わるのか、そこにはデザイナーと職人が進行錯誤して考え出した工房のワザが隠されています。
※説明の画像はクリックで拡大します
こんな形の「ダイヤモンドの原石」からスタート
発掘されるダイヤモンド原石の形は様々ありますが、最も宝飾用に向いている原石がこの八面体の原石です。
この理想系の原石を例に工程を説明していきます。
マーキング
原石からラウンドブリリアントカットを完成させるには、完成形にほど近い形まで大きく切断します。しかし、原石を無駄なくカットするための計算と共に、内包物の大きさや位置、色合いも考慮しなくてはなりません。一番良い方法で②ソーイングを行うために基準となるラインを引くのが「マーキング」と呼ばれる工程です。
例として、赤い線を目安に②ソーイングを行います。
ダイヤモンドの形状上、このような形で切り分け、大小の形にすることが、原石を無駄なく使うポイントです。
ソーイング
①でマーキングされた位置を、ダイヤモンドの粉(パウダー)を塗り込んだ銅の刃を使い切断します。天然物で一番硬いダイヤは、ダイヤを使ってカットするのです。
1つの原石の切断に約5時間程度かかります。(元原石の大きさによって変化します)
ここで大小2つに斬り分けられ、どちらもカットされていきます。
ガードリング(手による作業)
ソーイングされたダイヤモンドの角張った側面を、大まかに曲面にします。曲面にするにはソーイングされた原石を回転させ、横から他のダイヤモンドを触れさせて徐々に形を整えます。
クロスワーク
ガードリングで形成されたダイヤモンドを上下8面・合計16面にカットします。これは最終仕上げまでの余分な箇所を大まかにカットするものです。
ここではパワーのあるスカイフ(ダイヤをカットする円盤状の機械)を使用します。
リガードリング(手と機械による作業)
クロスワークされたダイヤモンドに、最終的な外周となる面をカットします。カットする外周の計算や微調整を手作業で行い、カットは大きな機械で行います。カットにはダイヤモンドが練りこまれた特殊なホイール(刃)を使用します。
パビリオン研磨の「秘密の工程」
ダイヤモンドを輝かせるためのパビリオンの秘密がコレ!この工程があるからこそ、工房のダイヤモンドがより輝きを増すものになるのです。
パビリオンのカット
パビリオンは輝きを生み出す土台となる大切なカット工程です。工房のパビリオンは、担当の小野寺正が熟練のワザでカットしています。
詳しいカット工程の内容は下の画像をクリックしてください。
パビリオンのチェック
⑦でのパビリオンのカットを細かくチェックします。輝きを生む土台となるもので、見落としはもちろん、小さなミスも許されません。
詳しいチェック内容は下の画像をクリックしてください。
クラウン研磨の「秘密の工程」
最高のパビリオンに負けないクラウンを作り出す秘密がコレ!この工程が、工房のダイヤモンドがどこにも負けない輝き生み出す大事なものなのです。
クラウンのカット
クラウンはダイヤモンドの顔となり、輝きを引き締める大事なカット工程です。工房のクラウンは、担当の山田克己が丹精込めてカットしています。
詳しいカット工程の内容は下の画像をクリックしてください。
クラウンのチェック
⑩でのクラウンのカットを細かくチェックします。先に完成しているパビリオンとのバランスも含め、面の仕上がりなどクラウンの全てをチェックします。
詳しいチェック内容は下の画像をクリックしてください。
最終チェック~洗浄
クラウン・パビリオン・ガードルなど全ての部分を総合的にチェックします。
ダイヤモンドの鑑定基準である「4C」にあるカット項目(シンメトリー・ポリッシュ・総合評価)の総合的なバランスのチェックです。シンメトリーは各々の面の対象性を、ポリッシュはカットした表面の仕上がり具合を、総合評価は上記の項目を含めた全てのバランスを評価したものです。
チェックがOKであれば、ダイヤモンドを洗浄します。カットしたことによってダイヤ表面にはダイヤモンドパウダーなどが付着してしまいます。それをキレイにするため、加熱した硫酸でダイヤモンドをぐつぐつと煮ることで付着した汚れを落とします。
完成
以上が、原石のダイヤモンドがラウンドブリリアントカットとして完成するまでの工程となります。
1つ1つの工程には、ここでは説明しきれないような独自の工夫や、長年の経験からできるワザが様々込められています。一概にダイヤモンドと言っても、輝くまでには色々な工程で想いがしっかり込められていることを知ってもらえれば幸いです。