クラウン担当職人よりごあいさつ
はじめまして、クラウンのカットを担当しています山田です。
おっかなビックリしながら始めたこの仕事も気がつけば10余年経ち、ルーペでダイヤモンドを見るのに焦点が合わず苦労していた頃が懐かしく思えます。
ダイヤモンドのカットはとても特殊なもので、イメージが出来ないかもしれませんが、10倍以上のルーペを駆使しながら1面1面ずつカットしていく、とても細かい繊細な作業です。完成までのどの作業も輝きを左右するので、誇りを持って妥協せず、最高のダイヤモンドをカットしています。
ダイヤモンドの一番の魅力は他にはない輝きだと考えます。ダイヤモンドが最初から持っているはずなのに、カットという職人のウデで輝きを損なっているものがたくさんあります。そんなダイヤモンドの持つ輝きの力を全て出してあげるのがカット職人としての誇りであり、責務と考え、妥協のないワザをダイヤモンドに込めています。
こころのダイヤモンドを身につけたその人自身も光り輝かせるようなカットを提供できるように日々心がけ、技術の向上に努めています。
ダイヤモンドの研磨 ‐クラウン-
ここでは58面ラウンドブリリアントカットのクラウンを例とします。
クラウンは下の画像のダイヤモンドの上部分を指します。
ダイヤモンドはガードルから上と下とに分けた2つの大きな部分に分かれます。上の部分全体を「クラウン」と呼び、ダイヤモンドの顔とも呼べる大事な部分になります。ここを私、山田が担当しています。クラウンを完成させるためにはどのような手順で行うかを簡単にご説明します。
クロスワーク(荒削り)をする
クラウン・パビリオンともに8面にカットする。(45°で8分割)
ここでは全ての面に、完成よりも余裕を持たせた角度でカットしておきます。クラウンは36°(完成では34.5°)パビリオンは42°(完成では40.75°)程度の角度にとどめます。後々の工程で完成の角度までカットさせます。
パビリオン作業へ移行
まずはパビリオンを完成させますので、パビリオン担当の職人・小野寺の作業です。
完成し、細部のチェックが済みましたらクラウン作業へ移ります。
デザイン別の数値までテーブルをカットする
クラウン作業はまず、ダイヤモンドで一番大きい面であるテーブルをカットすることから始まります。
テーブルの大きさがこの後に続く作業に大きな影響を及ぼしますので、ジャストの数値でカットしなければなりません。またテーブルは、ガードルと垂直であり、パビリオンの先端(キューレット)と水平でなくてはなりません。
ベゼルファセットをカットする
ベゼルファセットとは、クラウン面のメインとなる8つの面になります。
正確な面をカットする集中力が必要な工程です。クロスワーク段階では余裕を持たせた角度なため、ここで34.5°という一番輝く角度にカットします。
スターファセットをカットする
スターファセットとは、隣り合う2面のベゼルファセットのちょうど半分を割るように研磨する三角形の面です。
テーブルに隣接する面のため、ぴったり半分でカットしないとテーブルの8角形にヨレが出て全体の形が歪んで見えてしまうので、細心の注意を払いカ研磨します。
アッパーガードルファセットをカットする
アッパーガードルファセットとは、ガードルの上で隣接するベゼルファセット2面の稜線を左右から2面カットする面のことです。この面は研磨体験にも使われる面で、クラウンの中で一番数が多く輝きを細かくキラキラとしたものにする大事な面なので、均等な大きさになることを心がけて研磨します。
クラウン完成~全カット工程終了
以上の工程でダイヤモンドのクラウンが全て完成します。ここから細部のチェックなどを経てOKとなればラウンドブリリアントカットの完成です。
まとめ
このように、様々な段階を経てダイヤモンドはカットされています。本来はもっと細かく「この面の角度は○度」「この面の大きさは○%」などありますが、大まかな流れは以上です。
私が担当しているクラウンの輝きを、工程を知った上で楽しんでいただければ幸いです。ぜひ一度見に来てみてください。